不動産売却は「税金で大きく変わる」
不動産を売却するときに見落としがちなのが税金です。売却益が出ると譲渡所得税・住民税で20〜40%課税されることもあり、知っているか知らないかで手取りが数百万円違うことも珍しくありません。マイホームの売却なら3,000万円特別控除など強力な特例があるので、活用すれば税金ゼロも可能です。
本記事では一般的な売却の流れと税金の基本を整理します。具体的な税額の計算・申告は税務署や税理士への確認を推奨します。
売却の8ステップ
1. 相場調査 — ポータルサイト・レインズで相場感を掴む(1〜2週間)。
2. 一括査定 — 5〜6社に査定依頼(1〜2週間)。
3. 媒介契約 — 専任媒介か一般媒介を選ぶ。
4. 売却活動・内覧対応 — 1〜3ヶ月。値下げ交渉あり。
5. 売買契約締結 — 手付金(売却額の5〜10%)を受領。
6. 残代金決済・引渡し — 契約から1〜2ヶ月後。所有権移転登記。
7. 確定申告 — 売却した翌年の2月16日〜3月15日。
8. 譲渡所得税・住民税の納付 — 確定申告で算出された税額を納付。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得費 | 購入価格+購入時の諸費用−減価償却費 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙税・測量費等 |
| 所有期間5年以下(短期) | 譲渡所得×39.63% |
| 所有期間5年超(長期) | 譲渡所得×20.315% |
※2026年5月時点の税率。復興特別所得税を含む。所有期間は売却した年の1月1日時点で判定。
計算例:マンションを2,000万円で買って3,500万円で売る
条件:取得価格2,000万円・取得時諸費用100万円・売却額3,500万円・売却時諸費用150万円・所有期間10年。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 取得費 | 2,000万円+100万円 = 2,100万円 |
| 譲渡費用 | 150万円 |
| 譲渡所得 | 3,500万円−2,100万円−150万円 = 1,250万円 |
| 税額(長期譲渡) | 1,250万円×20.315% ≒ 254万円 |
※マイホームなら3,000万円特別控除が適用可能で、譲渡所得1,250万円なら税金ゼロになります。
マイホーム売却の3つの特例
1. 3,000万円特別控除 — マイホーム(居住用財産)の売却益から3,000万円を控除。所有期間に関係なく適用可能。
2. 軽減税率の特例 — 所有期間10年超のマイホームを売却した場合、譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が10.21%(住民税4%含めて14.21%)に軽減。
3. 買換え特例 — マイホームを売って新たなマイホームを買う場合、譲渡益への課税を将来に繰り延べ。1〜3の併用には条件があるので、税理士・税務署への確認を推奨。
譲渡損失が出た場合の特例
売却損が出ても活用できる特例があります。
居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除 — マイホーム売却で損失が出た場合、給与所得など他の所得と通算でき、控除しきれない分は翌年以降3年間繰り越して所得控除可能。所得税・住民税の還付が期待できます。
条件は「所有期間5年超」「住宅ローン残高が売却価格を上回っている」など、ケースで適用が分かれます。詳細は税務署で確認してください。
確定申告の流れ
売却益が出た場合は売却した翌年に確定申告が必要です。
1. 必要書類の準備 — 売買契約書(売却時・取得時)・登記簿謄本・固定資産税精算書・仲介手数料領収書など。
2. 譲渡所得の計算 — 取得費・譲渡費用を整理し、譲渡所得を算出。
3. 特例の適用判定 — 3,000万円特別控除・軽減税率・買換え特例などの適用要件を確認。
4. 申告書作成・提出 — 国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成可能。複雑な場合は税理士依頼を検討。
5. 納税 — 所得税は3月15日まで、住民税は6月以降に納付書が届く形。
情報収集の客観整理
譲渡所得税の詳細・最新の特例適用要件は国税庁の公式サイト、税務署の窓口、税理士・FPなどへの相談が確実です。本記事は概略の整理であり、個別ケースの判断材料を保証するものではありません。具体的な税額計算は税務署または税理士に確認してください。
売却後の資金計画は貯金シミュレーター、住み替え時の初期費用計算機、家計バランスチェックの家計バランス診断もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 3,000万円特別控除を使うのに条件は?
A. 自分が住んでいた家屋(または家屋+土地)の売却であること、配偶者・親族への売却でないこと、過去3年内に同特例を使っていないこと、などが主な条件。住まなくなってから3年経過する年の12月31日までに売却することも条件です。
Q. 取得費が分からない(古い物件)場合は?
A. 取得費が不明な場合は「売却額の5%を取得費とみなす」ルール(概算取得費)が使えます。ただし実際の取得費より少なくなることが多く、税額が大きくなりやすいので、契約書・領収書を必死で探すのが先決。
Q. 投資用不動産にも3,000万円控除は使える?
A. 使えません。3,000万円特別控除は「マイホーム(居住用財産)」の売却限定です。投資用不動産は通常の譲渡所得税(短期約39%・長期約20%)が適用されます。