個人事業主が払う税金は5種類もある
個人事業主やフリーランスとして働き始めると、「税金ってこんなに多いの?」と驚く方が多いですよね。会社員のときは給与天引きで済んでいたものが、すべて自分で計算して納付する必要があるんですよ。
正直なところ、個人事業主が支払う主な税金・社会保険料は以下の5種類です。
- 所得税 — 事業所得に対して5%〜45%の累進課税
- 住民税 — 所得に対して一律約10%
- 個人事業税 — 事業所得が290万円を超えると3%〜5%
- 消費税 — 課税売上高が1,000万円を超える場合(インボイス登録者は売上に関係なく課税)
- 国民健康保険料 — 所得に応じて自治体ごとに計算
※本記事は2026年4月時点の制度に基づいた一般的な情報です。個別の税務相談は税理士や最寄りの税務署にご確認ください。
所得税の計算方法と税率
個人事業主の税金で最も大きなウエイトを占めるのが所得税です。事業の売上から経費を引いた「事業所得」に対して課税されます。
計算の流れはこうなります:
- 売上 − 経費 = 事業所得
- 事業所得 − 各種所得控除(基礎控除48万円、青色申告特別控除65万円など) = 課税所得
- 課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額
2026年の所得税率は以下の通りです。
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
たとえば課税所得が500万円の場合、500万円 × 20% − 427,500円 = 572,500円が所得税額になります。これに復興特別所得税(2.1%)が加算されます。
住民税と個人事業税
住民税は所得に対して一律約10%(都道府県民税4% + 市区町村民税6%)+ 均等割(約5,000円)がかかります。前年の所得をもとに計算され、翌年6月から納付が始まるので注意が必要ですよね。
独立1年目は住民税が少ない(会社員時代の所得が低い場合)ですが、2年目に前年のフリーランス収入に対する住民税がドンと来るので、資金を準備しておきましょう。
個人事業税とは
個人事業税は、事業所得が290万円を超えた場合に都道府県に納める税金です。業種によって税率が異なります。
| 区分 | 業種の例 | 税率 |
|---|---|---|
| 第1種 | 物品販売業、飲食店業、不動産貸付業など | 5% |
| 第2種 | 畜産業、水産業、薪炭製造業 | 4% |
| 第3種 | 医業、弁護士、デザイン業、コンサルタントなど | 5%(一部3%) |
ライター、プログラマー、漫画家などは個人事業税が課税されない場合もあります。事業内容の記載方法によって課税・非課税が分かれることがあるので、開業届の「事業の概要」欄は慎重に書きましょう。
消費税とインボイス制度
2023年10月に始まったインボイス制度によって、消費税の取り扱いが大きく変わりました。正直なところ、フリーランスにとって最も影響が大きい税制変更ですよね。
インボイス登録事業者になると、売上高が1,000万円以下でも消費税の申告・納付が必要になります。一方、登録しないと取引先が仕入税額控除を受けられなくなり、取引に影響が出る可能性があります。
2026年時点の経過措置として、2割特例(納税額を売上にかかる消費税の2割に軽減)が使えます。この特例は2026年分の申告まで適用可能です。
- 年間売上500万円(税込550万円)の場合:消費税50万円 × 20% = 納税額10万円
- 簡易課税を選択した場合:業種ごとのみなし仕入率で計算(サービス業は50%)
国民健康保険料の目安
個人事業主は会社の健康保険に加入できないため、国民健康保険(国保)に加入する必要があります。保険料は自治体ごとに異なりますが、所得に応じて上がるのが特徴です。
| 年間所得 | 保険料の目安(年額・40歳未満) |
|---|---|
| 200万円 | 約20〜25万円 |
| 400万円 | 約40〜50万円 |
| 600万円 | 約60〜75万円 |
| 800万円以上 | 上限額(約106万円) |
国保料を抑える方法としては、文美国保(文芸美術国民健康保険組合)などの業種別国保組合に加入する方法があります。デザイナー、イラストレーター、写真家などは所得に関係なく定額の保険料になるため、高所得者ほどお得です。
個人事業主の節税対策7選
節税の基本は「正しく経費を計上する」ことと「使える控除をすべて使う」ことです。
- 青色申告65万円控除 — e-Taxで電子申告すれば最大65万円の控除。紙の申告だと55万円に減額
- 家事按分 — 自宅で仕事をしている場合、家賃・光熱費・通信費の事業使用割合を経費にできる
- 小規模企業共済 — 月額最大7万円(年間84万円)が全額所得控除。退職金の代わりになる
- iDeCo(個人型確定拠出年金) — 月額最大68,000円が全額所得控除
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済) — 月額最大20万円(年間240万円)が経費に。40ヶ月以上で全額戻る
- ふるさと納税 — 所得が高いほど控除上限額が増える。実質2,000円で返礼品がもらえる
- 少額減価償却資産の特例 — 30万円未満の固定資産を一括で経費にできる(年間300万円まで)
これらを組み合わせると、課税所得500万円の方なら年間50万円以上の節税も可能です。まずは青色申告と小規模企業共済から始めるのがおすすめですよ。
確定申告の流れとスケジュール
個人事業主の確定申告は、毎年2月16日〜3月15日が申告期間です。流れを簡単にまとめると:
- 1月〜12月の売上・経費を帳簿に記録(会計ソフト推奨)
- 1月に届く各種控除証明書を集める
- 2月に入ったら決算書・確定申告書を作成
- e-Taxまたは税務署に提出
- 3月15日までに所得税を納付(振替納税なら4月中旬に口座引落)
会計ソフトは「freee」「マネーフォワードクラウド確定申告」「やよいの青色申告」の3つが定番です。年間1万円前後の費用はかかりますが、帳簿作成の手間を大幅に削減できるので、投資する価値は十分ありますよ。