何が変わった?旧ルールとの違い
2026年4月から、健康保険の扶養認定における130万円の壁の判定方法が大きく変わりました。パートで働いている方にとってはかなり重要な変更です。
これまでの130万円の壁は「実際の年収が130万円を超えそうかどうか」で判定されていました。でも、繁忙期に残業が増えて一時的に収入が上がっただけで扶養から外れるケースがあり、「不公平だ」という声が多かったんですよね。
| 項目 | 旧ルール(〜2026年3月) | 新ルール(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 判定基準 | 実際の収入見込み | 労働契約書上の見込み年収 |
| 残業代の扱い | 含む | 原則として含まない |
| 一時的な収入増 | 扶養から外れるリスクあり | 契約内なら扶養継続 |
| 確認のタイミング | 随時(年収見込みベース) | 契約更新時に確認 |
簡単に言うと、「実際にいくら稼いだか」ではなく「契約上いくら稼ぐ予定か」で判定するように変わったということです。
労働契約書ベースとは
新ルールでは、扶養に入れるかどうかを労働契約書(雇用契約書)に記載された労働条件で判定します。
具体的には以下の計算で年収を見積もります:
- 労働契約書上の時給 × 週の所定労働時間 × 52週 ÷ 12 = 月額見込み
- 月額見込み × 12 = 年収見込み
この年収見込みが130万円未満であれば、実際の残業で一時的に130万円を超えても原則として扶養のままでいられます。
ただし、注意点もあります:
- 契約変更(時給アップ、労働時間変更)があった場合は再判定
- 恒常的な残業(毎月10時間以上など)は契約の実態と異なるとみなされる場合あり
- ダブルワークの場合は合算で判定
パート主婦の手取りシミュレーション
新ルールで、パート主婦の働き方がどう変わるか。時給1,200円のケースでシミュレーションしました。
| 週の労働時間 | 契約上の年収 | 残業月10時間の場合 | 扶養判定(新ルール) |
|---|---|---|---|
| 週15時間 | 約93.6万円 | 約108万円 | ○ 扶養内 |
| 週18時間 | 約112.3万円 | 約127万円 | ○ 扶養内 |
| 週20時間 | 約124.8万円 | 約139万円 | ○ 扶養内 |
| 週21時間 | 約131.0万円 | 約145万円 | × 扶養外 |
旧ルールでは週18時間勤務で残業が多い月があると「130万円超えそう」と心配でしたが、新ルールなら契約上の年収が130万円未満であれば安心です。
週20時間の場合、契約上は約125万円で扶養内。残業で実際に139万円になっても扶養から外れません。これはかなり安心感がありますよね。
自分の場合のシミュレーションは扶養判定シミュレーターで確認できます。
今すぐやるべきこと
新ルールに対応するために、パートで働いている方が今やるべきことをまとめました。
1. 労働契約書を確認する
まずは自分の労働契約書(雇用契約書)を確認してください。時給、週の所定労働時間、契約期間が記載されているはずです。これが扶養判定の基準になります。
2. 契約上の年収を計算する
時給 × 週の所定労働時間 × 52週で年収見込みを計算しましょう。130万円未満なら扶養内です。
3. 勤務先に確認する
不明な点があれば勤務先の人事・総務担当に確認しましょう。特に「残業は契約上どう扱われるか」は重要です。
4. 配偶者の健保組合に確認する
健康保険組合によって独自の運用がある場合もあります。配偶者の会社の健保組合にも新ルールの適用について確認しておくと安心です。
扶養を外れた場合の手取りへの影響は手取り計算機で、夫婦での手取り最適化は夫婦手取りシミュレーターで確認できます。
※本記事は2026年4月施行の制度変更に基づいています。健康保険組合によって運用が異なる場合があります。詳細は加入先の健康保険組合にお問い合わせください。
よくある質問
Q. 旧ルールの「事業主の証明」制度はどうなる?
A. 2024年10月から導入された「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」は、新ルールに統合されます。労働契約書ベースの判定がその発展形と位置づけられています。
Q. ダブルワークの場合はどう判定される?
A. 複数の勤務先がある場合は、すべての労働契約書上の年収見込みを合算して判定されます。合計130万円未満であれば扶養内です。
Q. 130万円の壁と106万円の壁は別?
A. はい、別の制度です。106万円の壁は「自分が社会保険に加入する基準」で、130万円の壁は「配偶者の扶養に入れる基準」です。今回変わったのは130万円の壁の判定方法です。
Q. フリーランスや業務委託の場合はどうなる?
A. 労働契約書ベースの判定は「雇用されているパート・アルバイト」が対象です。フリーランスや業務委託は引き続き実際の収入で判定されます。