介護休業と介護給付金 — 結論「93日×67%を3回まで分割できる」
家族の介護で仕事を休まなければならない…そんなとき、まず使うべきが介護休業制度です。育児・介護休業法に基づく労働者の権利で、要件を満たせば対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得できます。さらに雇用保険から介護休業給付金として休業前賃金の67%相当が支給されます。
正直なところ、「介護休業=介護期間中ずっと休業」と思っている方が多いのですが、これは誤解です。93日というのは「介護体制を整えるための期間」と位置付けられており、ケアマネ選び・サービス調整・家族間調整等の準備期間として使うのが本来の趣旨。介護のすべての期間を休業でカバーすることは制度上想定されていません。
この記事では2026年5月時点の一般情報として、介護休業の対象者・期間・給付金・申請手順を整理します。個別の申請・職場交渉は社会保険労務士・ハローワーク・労働基準監督署等の専門家に相談してください。
最初に押さえる用語
- 育児・介護休業法:労働者の仕事と育児・介護の両立を支援する法律
- 介護休業:要介護状態の家族介護のため取得できる休業
- 介護休暇:年5日(家族2人以上で10日)の短期休暇
- 介護休業給付金:休業期間中に雇用保険から支給される給付金
- 要介護状態:負傷・疾病・身体上または精神上の障害により、2週間以上常時介護を必要とする状態
- 対象家族:配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
介護休業制度の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 同一事業主に1年以上雇用される労働者(パート含む、要件あり) |
| 対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
| 休業期間 | 対象家族1人につき通算93日 |
| 分割回数 | 最大3回まで分割可 |
| 申請期限 | 休業開始日の2週間前まで |
| 不利益取扱い禁止 | 解雇・降格等の不利益取扱いを法律で禁止 |
対象になる人・ならない人
対象になる人(一般労働者)
- 同一事業主に雇用される正社員(無期雇用)
- パート・契約社員でも、申出時点で引き続き1年以上雇用され、休業開始予定日から93日経過日から6か月以内に契約満了が明らかでないこと
労使協定で除外可能な人
- 入社1年未満の労働者
- 申出から93日以内に雇用関係終了が明らかな労働者
- 週所定労働日数2日以下の労働者
対象になる家族の要介護状態
要介護2以上、または常時介護を必要とする状態に関する判断基準(厚生労働省指針)に該当することが要件です。介護保険の要介護認定がなくても、医師の診断書等で常時介護が必要と認められれば対象になり得ます。
介護休業給付金の仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付率 | 休業開始時賃金日額の67% |
| 給付期間 | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 分割支給 | 最大3回まで分割可(介護休業の分割と連動) |
| 支給単位 | 休業期間中の暦日ベース(支給日数の上限あり) |
| 申請期限 | 休業終了日の翌日から2か月後の月末まで |
| 申請窓口 | ハローワーク(事業主経由が一般的) |
給付金額の計算例
例:月給30万円(賞与除く)の人が3か月(93日)休業した場合
- 休業開始時賃金日額 ≒ 30万円 ÷ 30日 = 約1万円
- 給付額 = 1万円 × 67% × 93日 ≒ 約62.3万円
※2026年5月時点の概算。賃金日額には上限・下限があり、所得状況や年齢で実際の額が変動します。詳細はハローワーク・厚生労働省公式情報を確認してください。
給付金の要件
- 雇用保険被保険者であること(一般被保険者・高年齢被保険者)
- 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あること
- 休業期間中に賃金の80%以上を受けていないこと
- 労使協定で対象から除外されていないこと
申請手順
ステップ1. 介護休業の取得申請(職場へ)
- 休業開始予定日の2週間前までに事業主へ書面で申出
- 申出書類:介護休業申出書(厚生労働省様式またはみずから作成)
- 必要に応じて、対象家族の状況を示す書類(介護保険認定通知書・医師の診断書等)を提出
ステップ2. 介護休業給付金の申請(ハローワークへ)
- 休業終了後、事業主が必要書類をハローワークに提出するのが一般的
- 必要書類:休業開始時賃金月額証明書、介護休業給付金支給申請書、介護対象家族の確認書類等
- 申請期限:休業終了日の翌日から2か月後の月末まで
- 原則として2か月単位でまとめて申請(93日を1回で取得する場合)
介護休暇(短期休暇)も併用
介護休業より短い期間で対応したい場合は、介護休暇を併用するのが現実的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得日数 | 対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日) |
| 取得単位 | 1日または時間単位 |
| 取得目的 | 通院付添・介護サービス手続・ケアマネ面談等 |
| 賃金支払 | 法律上は無給(就業規則で有給化する企業もあり) |
| 申請期限 | 口頭申出も可(職場規則による) |
その他の両立支援制度
- 所定外労働の制限:要介護家族のいる労働者は残業免除を請求可
- 時間外労働の制限:月24時間・年150時間を超える時間外労働を制限
- 深夜業の制限:午後10時〜午前5時の深夜業を制限
- 短時間勤務制度等:選択的措置として事業主が講じる(時短・フレックス・始業終業時刻繰上下げ・在宅勤務・介護サービス費用補助等から選択、3年間で2回以上)
- 転勤への配慮:育児・介護休業法で事業主の配慮義務
介護休業 vs 介護休暇 vs 短時間勤務
| 制度 | 期間 | 給付金 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 介護休業 | 通算93日(3回分割可) | 賃金の67% | 介護体制構築期間 |
| 介護休暇 | 年5〜10日 | 原則無給 | 通院付添・手続 |
| 短時間勤務等 | 3年で2回以上の選択的措置 | 賃金は時短分減 | 継続的な勤務調整 |
| 所定外労働制限 | 1回1か月以上1年以内 | 賃金は残業分減 | 残業免除 |
介護休業を取得するチェックリスト
- 対象家族の介護状況を整理(医師の意見・要介護認定の有無)
- 勤務先の就業規則で介護休業・介護休暇規定を確認
- 休業開始日と期間を計画(地域包括・ケアマネと相談)
- 休業開始日の2週間前までに事業主へ書面申出
- 給付金支給要件(雇用保険加入歴)を確認
- 休業中の社会保険料負担(健保・厚年は本人負担継続)を確認
- 復職後の勤務体制(短時間・所定外労働制限等)を事前相談
- 必要に応じて社労士・労働基準監督署に相談
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よくある質問
Q. 介護休業は93日連続で取らないといけませんか?
A. いいえ、最大3回まで分割できます。例:1回目30日、2回目30日、3回目33日のように介護状況に合わせて柔軟に取得可能。給付金も分割に応じて支給されます。
Q. パート社員でも介護休業は取れますか?
A. 取得できます。同一事業主に1年以上雇用され、休業開始日から93日経過日から6か月以内に契約満了が明らかでないこと等の要件あり。週所定労働日数2日以下の方は労使協定で除外されることがあります。
Q. 介護休業給付金はいくらもらえますか?
A. 休業開始時賃金日額の67%が暦日単位で支給されます。月給30万円なら93日休業で約62万円が目安。賃金日額には上限・下限があるため、実額はハローワークで試算してください。
Q. 介護休業中に給与は支払われますか?
A. 法律上は事業主に賃金支払義務はありません。多くの企業は無給扱いですが、就業規則で有給扱いとする企業もあります。給付金は事業主からの賃金が80%未満の場合に受給可能。
Q. 社会保険料は休業中も支払う必要がありますか?
A. はい、介護休業中は健康保険・厚生年金の保険料は本人負担分を引き続き納付する必要があります(育児休業のような免除はありません)。事業主に支払方法を相談してください。
Q. 介護休業を取ると不利益取扱いを受けますか?
A. 育児・介護休業法で解雇・降格・減給等の不利益取扱いは禁止されています。違反があればハローワーク・労働局・労働基準監督署に相談を。
Q. 申請期限を過ぎたらどうなりますか?
A. 介護休業給付金は休業終了日の翌日から2か月後の月末までに申請が必要。期限を過ぎると原則受給できなくなります。事業主が手続きしてくれることが多いですが、自分でも期限を把握しておくのが安全。
Q. 兄弟姉妹も介護対象家族に含まれますか?
A. はい、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が対象家族です。同居・扶養の有無は問われません。
Q. 自営業・フリーランスも給付金を受けられますか?
A. 雇用保険に加入していないため、原則として介護休業給付金は対象外です。自治体の独自支援制度や、国民年金・国民健康保険の減免制度を市区町村窓口で確認してください。
Q. 介護休業と介護休暇は同時に取れますか?
A. 同じ日に重複取得はできませんが、別の日であれば併用可。介護休業を93日使い切った後に介護休暇で短期対応するのが現実的な活用方法です。
※本記事の数値・制度内容は2026年5月時点の一般的な目安です。介護休業期間・給付率・要件は法改正で変更される場合があります。個別事案は社会保険労務士・ハローワーク・労働基準監督署・各自治体労働相談窓口等の専門家に必ずご相談ください。最新情報は厚生労働省・ハローワーク公式情報でご確認ください。