結論:所得税と住民税の違いは「課税の主体と税率構造」です
給与明細を見て「所得税」と「住民税」の2つが引かれていることに気付いた方、多いですよね。結論から言うと、所得税と住民税の違いは「誰が課税するか」と「税率の仕組み」です。所得税は国が課税する累進課税(収入が多いほど税率が上がる)、住民税は都道府県・市区町村が課税するほぼ一律10%の比例課税、という違いがあります。
正直なところ、この2つは似ているようで「徴収のタイミング」「計算の元になる所得」「控除額」まで違うんです。この記事では、両者を表で比較し、年収別の合計税額まで具体的に整理します。
所得税と住民税の比較表
| 項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 課税主体 | 国 | 都道府県・市区町村 |
| 税率の仕組み | 累進課税(5〜45%の7段階) | ほぼ一律10%(都道府県4%+市区町村6%) |
| 均等割(定額部分) | なし | あり(年5,000円前後) |
| 計算の元になる所得 | その年(1〜12月)の所得 | 前年の所得 |
| 徴収方法(会社員) | 毎月の源泉徴収+年末調整 | 翌年6月から12回に分けて天引き |
| 基礎控除 | 48万円 | 43万円 |
| 配偶者控除 | 最大38万円 | 最大33万円 |
| 扶養控除(一般) | 38万円 | 33万円 |
| 納付先 | 税務署(国税) | 市区町村役場(地方税) |
| 確定申告 | 必要な場合あり | 所得税の確定申告で自動的に計算 |
ポイントは住民税が「前年所得」に基づくこと。退職後・転職直後に「収入がないのに住民税が高い!」と驚くのは、これが原因です。
所得税の計算式とポイント
所得税の基本的な計算式はこうなります。
所得税 = (収入 − 給与所得控除 − 各種所得控除)× 累進税率 − 税額控除
| 課税所得 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
実は、これに加えて復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が2037年まで上乗せされます。
住民税の計算式とポイント
住民税は「所得割」と「均等割」の2階建てです。
- 所得割=(前年の課税所得)× 10%(おおむね)
- 均等割=年5,000円前後(自治体で若干異なる。森林環境税1,000円を含む)
住民税は「翌年6月から翌々年5月」までの12回に分けて天引きされます。会社員の場合は給与から自動的に引かれます(特別徴収)。
年収別の合計税額シミュレーション
独身・扶養なし・社会保険料控除のみを前提とした目安です。
| 年収 | 所得税(年) | 住民税(年) | 合計税額 | 合計の年収比 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約5.5万円 | 約12万円 | 約17.5万円 | 約5.8% |
| 400万円 | 約8.5万円 | 約17.5万円 | 約26万円 | 約6.5% |
| 500万円 | 約14万円 | 約24万円 | 約38万円 | 約7.6% |
| 600万円 | 約20万円 | 約30万円 | 約50万円 | 約8.3% |
| 700万円 | 約32万円 | 約37万円 | 約69万円 | 約9.9% |
| 800万円 | 約47万円 | 約45万円 | 約92万円 | 約11.5% |
| 1,000万円 | 約83万円 | 約63万円 | 約146万円 | 約14.6% |
年収が上がるほど累進課税の所得税が大きく増え、年収800万円を超えたあたりから所得税が住民税を上回るのが分かります。具体的な手取りは手取り計算機で確認できます。
両方に効く節税策
所得税と住民税は、どちらも「課税所得」をベースに計算されます。つまり所得控除を増やせば、両方が同時に下がるのが節税の基本です。
- iDeCo:掛金が全額所得控除(所得税+住民税の両方を圧縮)
- ふるさと納税:実質2,000円で返礼品。住民税が中心の節税
- 医療費控除・セルフメディケーション税制:年間医療費が多い人向け
- 生命保険料控除・地震保険料控除:加入済みなら必ず申告
ふるさと納税の上限はふるさと納税限度額シミュレーターで確認しておきましょう。
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よくある質問
Q. 所得税と住民税の最大の違いは何ですか?
A. 課税主体と税率構造が違います。所得税は国が課税する累進課税(5〜45%)、住民税は都道府県・市区町村が課税するほぼ一律10%の比例課税です。住民税はさらに年5,000円前後の均等割が加わります。
Q. なぜ退職した翌年に住民税が高く感じるのですか?
A. 住民税は前年の所得に基づいて翌年6月から徴収されます。退職して収入が下がっても、前年の高い所得をベースに計算されるため、退職翌年は手取り感覚で重く感じるのです。
Q. 所得税と住民税で控除額が違うのはなぜですか?
A. 課税の主体と趣旨が異なるためです。基礎控除は所得税48万円・住民税43万円、配偶者控除は最大38万円と33万円、扶養控除は38万円と33万円と、住民税のほうが少し低めに設定されています。
Q. ふるさと納税は所得税と住民税のどちらが減るのですか?
A. 両方が減りますが、減税の中心は住民税です。寄附額のうち2,000円を超える部分は、所得税の還付と翌年度の住民税の控除に分かれて戻ってきます。
Q. iDeCoは所得税と住民税の両方に効きますか?
A. はい、iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になるため、所得税と住民税の両方が下がります。年収500万円で月2万円拠出するなら、年間で4〜5万円程度の節税効果が見込めます。
※税額・税率は2026年5月時点の制度に基づく目安です。最新の税率・控除額は国税庁・お住まいの自治体でご確認ください。