結論 — 失敗の多くは「相場を知らず、1社に任せきり、売り急ぐ」から起こる
不動産売却は人生でそう何度もあるものではありません。だからこそ知識不足で進めてしまい、「もっと高く売れたはず」「あの会社に任せて損した」と後悔するケースが後を絶ちません。
失敗の原因を突き詰めると、多くは「相場を把握していない」「1社だけで決めてしまう」「事情があって売り急ぐ」の3つに集約されます。逆に言えば、ここを押さえるだけで大きな失敗はかなり防げます。この記事では、よくあるトラブルと回避法を「7つの注意点」として整理します。
本記事は2026年時点の一般的な注意点です。個別の契約内容や税務は不動産会社・税理士など専門家にも確認しながら進めてください。
7つの注意点 一覧
| No. | 注意点 | 回避法のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 1社だけで決めない | 複数社の査定を比較する |
| 2 | 相場を把握しないまま売り出す | 事前に自分で相場を調べる |
| 3 | 媒介契約の違いを理解していない | 3種類の特徴を知って選ぶ |
| 4 | 売り急いで安く手放す | スケジュールに余裕を持つ |
| 5 | 囲い込みに気づかない | 販売状況を定期的に確認する |
| 6 | 費用・税金を見落とす | 諸費用を含めた手取りで考える |
| 7 | 物件の欠点を隠す | 告知義務を守り正直に伝える |
注意点1:1社だけで査定を受けて決めない
最もありがちな失敗が、最初に相談した1社の査定額だけを信じて契約してしまうことです。査定額は会社によって数百万円単位で差が出ることも珍しくありません。1社だけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。
必ず複数社の査定を比較しましょう。査定額だけでなく、担当者の対応や販売戦略も見比べることで、信頼できる会社を選べます。比較の進め方は不動産一括査定の比較ガイドが参考になります。
ただし、査定額が高ければ良いというわけではない点にも注意。契約を取りたいがために相場より高い査定額を提示し、結局売れずに後から値下げ、というパターンもあります。根拠を説明できる会社かどうかを見極めましょう。
注意点2:相場を把握しないまま売り出さない
自分で相場を調べずに不動産会社任せにすると、安く売り出されても気づけません。事前に大まかな相場を知っておくことが、適正価格で売るための防御になります。
相場は、近隣の成約事例や売り出し中の類似物件、公的な取引価格情報などから調べられます。具体的な方法は不動産売却相場の調べ方で詳しく解説しています。相場観を持ったうえで査定を受けると、各社の金額の妥当性も判断しやすくなります。
注意点3:媒介契約の3種類の違いを理解する
不動産会社に売却を依頼するときに結ぶのが「媒介契約」です。3種類あり、それぞれ特徴が異なります。違いを知らずに選ぶと、後悔のもとになります。
| 媒介契約の種類 | 複数社への依頼 | 自己発見取引 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | できる | できる | 複数社に同時依頼でき自由度が高い。各社の積極性は下がりやすい |
| 専任媒介契約 | できない(1社のみ) | できる | 1社に絞る。会社が力を入れやすい。2週間に1回以上の報告義務 |
| 専属専任媒介契約 | できない(1社のみ) | できない | 最も拘束が強い。1週間に1回以上の報告義務 |
※2026年時点の一般的な整理です。どれが最適かは物件や売主の方針によります。複数社に幅広く当たりたいなら一般媒介、1社に手厚く動いてもらいたいなら専任・専属専任が向く傾向があります。
注意点4:売り急いで安く手放さない
「住み替えの期限が迫っている」「早く現金化したい」といった事情で売り急ぐと、買主に足元を見られて値下げ交渉を受け入れざるを得なくなります。売り急ぎは安売りの最大の原因です。
可能な限りスケジュールに余裕を持ち、複数の買主を比較できる状態をつくりましょう。住み替えの場合は、売却と購入のタイミング調整も重要です。住み替え時の売却特例ガイドもあわせて確認しておくと安心です。
注意点5:「囲い込み」に注意する
囲い込みとは、不動産会社が売主・買主の両方から手数料を得たいために、他社からの問い合わせに「商談中」などと応じず、自社で買主を見つけるまで物件情報を抱え込む行為です。これをされると、本来もっと早く・高く売れたチャンスを逃すおそれがあります。
対策としては、販売状況を定期的に報告してもらい、反響の数や問い合わせ状況を確認すること。問い合わせがあるのに内覧に結びつかないなど不自然な点があれば、率直に説明を求めましょう。一般媒介で複数社に依頼するのも、囲い込みを避ける一つの方法です。
注意点6:費用・税金を見落とさない
売却価格ばかり見て、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用・譲渡所得税といった出ていくお金を計算に入れていないと、「思ったより手元に残らなかった」となりがちです。
必ず諸費用を差し引いた「手取り」で資金計画を立てましょう。費用の全体像はマンション売却の費用・手数料まとめ、税金は不動産売却にかかる税金ガイドで整理しています。マイホームなら3,000万円特別控除など使える特例の確認も忘れずに。
注意点7:物件の欠点を隠さない
雨漏りやシロアリ、設備の不具合、近隣トラブルなど、買主の判断に影響する事実を隠して売ると、引渡し後に発覚した場合に契約不適合責任を問われ、修補や損害賠償、契約解除につながるリスクがあります。
知っている不具合は正直に告知することが、結果的に自分を守ります。内覧での誠実な対応も含め、信頼を積み重ねることがスムーズな売却につながります。内覧時の対応は家の売却・内覧のコツでまとめています。
まとめ — 「比較・把握・余裕」で失敗は防げる
不動産売却の失敗は、複数社を比較し、相場を把握し、スケジュールに余裕を持つことの3点で大半を防げます。これに媒介契約の理解・囲い込みへの注意・費用の把握・正直な告知を加えれば、後悔のない売却に近づきます。
まずは相場の把握と複数社比較から。査定比較や相場の調べ方を起点に動き出しましょう。本記事は2026年時点の一般情報です。個別の契約・税務は専門家にご確認ください。